社員研修の必要性

システム、対応マニュアルの理解と実践

反社会的勢力による被害を防止するためにどのような立派な宣言やシステム、対応マニュアル等をつくったとしても、理解と実践が伴わなければ、なかば絵に描いた餅である。

役員及び従業員による適切な対応

また、反社会的勢力による攻撃・接触が企業という組織に対して行われるとしても、現実には、役員や従業員等の個人が反社会的勢力に直接対応するのであり、反社会的勢力による被害防止や反社会的勢力との関係遮断を組織として実践するためには、宣言やシステム、対応マニュアル等に基づいた、個々の役員及び従業員による適切な対応が求められる。

実態を秘匿したまま攻撃・接触してくる

反社会的勢力は何の予告もなく企業組織に攻撃・接触してくることが通常であり、組織内のどこに攻撃・接触してくるか事前に明らかになることも少ない。また、近時の反社会的勢力は、実態を秘匿したまま攻撃・接触してくることが多いため、個々の役員及び従業員の場当たり的対応に任せたのでは、適切な対応を期待することはできない。

定期的な研修の実施

そこで、反社会的勢力に対する適切な対応を個々の役員及び従業員に実践させるため、定期的な研修が必要となるのである。この場合、研修には「不当要求防止責任者講習」の受講を含む。社内におけ定期的な研修や不当要求防止責任者講習の受講を含めて、三重や愛知などの中部・東海地方では単に「研修」と呼ばれる場合が多い。

理解と実践

研修に割く費用と時間

個々の役員及び従業員に対する研修の実施には、多くの費用・時間を必要とする一方、その成果や効果を実感することは必ずしも容易ではない。そのため、経営陣の中には、研修に割く費用と時間を惜しむ向きもあるかもしれない。

企業の社会的評価の低下

しかしながら、企業がいったん反社会的勢力と関係を持つことになると、当該企業が被害者となるだけでなく、反社会的勢力に企業の資金が流れて当該勢力の活動を助長し、あるいは、当該企業の社会的評価を低下させ、ひいては企業を存亡の危機に陥れることにもなりかねない。

経済活動の必須事項

したがって、個々の役員及び従業員が反社会的勢力に適切に対応するために行う研修は、企業が経済活動をしていく上での必須事項であり、それに費やす時間と費用(両者をあわせた広い意味でのコスト)は、必要経費としてとらえ、必ず実施しなければならない。