【1位】アウンコンサルティング

アウンコンサルティングは、インターネットの広告会社である。 Googleなどの検索に表示される広告が主力業務である。

リクルート出身者が創業

アウンは、信太明(しだ・あきら)氏という脱サラ青年(当時)によって1998年に設立された。 信太氏は早稲田大学出身。リクルートなどで6年間サラリーマンをした後、1人で起業した。 技術者ではなく、営業系の人間である。

検索広告で大当たり

創業当初は苦戦した。しかし、Googleに代表されるインターネット検索が爆発的に普及した始めるという好機を上手につかみ、「SEO(エスイーオー)」と呼ばれる検索エンジン対策の商売で当てた。 さらに、検索結果に広告を表示させる「リスティング広告」のサービスが大ヒット商品となった。2005年11月、東証マザーズに株式上場を果たした。設立から7年後のことだった。

上場時点(2005年11月)の主要株主

上場時点の株主構成は以下の通り。

大株主 保有株比率
信太明(創業者) 76.61%
續池(つづいけ)均(役員) 8.54%
棚橋繁行(役員) 2.85%
従業員持株会 2.48%

当初は「ITの勝ち組」

上場直後は業績が好調だった。 2007年5月期の売上高は前期比約26%増の52億6800万円。経常利益は前期比55%増の7億1500万円。 典型的な勝ち組IT企業の一社と言われていた。株価も順調に伸びた。

2007年から地獄のような株価の大暴落

ところが、2007年から地獄のような株価の大暴落が始まった。その理由は、業績が劇的に悪くなったからである。 2007年に成長がピタリと止まり、その後は売上も利益も減る一方だった。

赤字続き

以下の通り、アウンは2008年5月期の決算で「減収減益」に転落。 翌年の2009年5月期に赤字に転落すると、5年連続で赤字に。 売上高はピークの4分の1となり、上場前よりも少なくなってしまった。

<アウンの悲惨な業績の歴史>
決算期 売上高 経常利益 純利益
2004年
5月期
3億7600万円 5100万円 3000万円
2005年
5月期
18億3400万円 1億7700万円 1億100万円
2006年
5月期
41億7000万円 4億6000万円 2億7300万円
2007年
5月期
52億6800万円 7億1500万円 4億1000万円
2008年
5月期
50億9700万円 6億3800万円 3億8200万円
2009年
5月期
37億9500万円 8300万円 ▲4億6100万円
2010年
5月期
27億6000万円 ▲1億7000万円 ▲2億7600万円
2011年
5月期
21億400万円 ▲1億8200万円 ▲2億2700万円
2012年
5月期
14億6000万円 ▲1億2900万円 ▲1億3000万円
2013年
5月期
14億300万円 ▲2400万円 ▲3000万円
2014年
5月期
16億7800万円 700万円 1100万円
2015年
5月期
16億1800万円 300万円 200万円
2016年
5月期
18億6100万円 2400万円 2000万円
2017年
5月期
19億1500万円 3000万円 2600万円
2018年
5月期
18億9600万円 700万円 100万円
2019年
5月期
18億7900万円 2500万円 2200万円
2020年
5月期
19億2700万円 ▲700万円 ▲4800万円
2021年
5月期
10億3200万円 ▲1億4700万円 ▲1億1000万円
2022年
5月期
5億円 300万円 400万円
2023年
5月期
4億5400万円 ▲7800万円 ▲8900万円

上場廃止の危機

2020年4月には、時価総額が10億円を下回り、上場廃止の危機に瀕した。



Shinwa Wise Holdings(シンワワイズホールディングス)

Shinwa Wise Holdings(シンワワイズホールディングス)は、美術品のオークションを運営している。画や陶芸などの高額品を中心に扱っている。

例えば、以下の美術品である。

  • 近代日本画
  • 日本近代洋画
  • 近代陶芸

美術品の競売を運営

美術品のオークション(競売)といえば、長らく、欧米を中心に展開する「サザビーズ」や「クリスティーズ」が有名だった。

日本では、それほど有名なオークション会社はなかった。

だが、この分野の日本企業の先駆けとなったのが、Shinwa Wise Holdings(旧:シンワアートオークション)だった。

2005年4月5日に株式を上場した。当初の上場先の市場は「大証ヘラクレス」だった。

オークションの仕組み

美術品オークションでは、作品を会場で展示し、価格を競い合う。

主催会社が、美術品を売りたい個人や法人などから作品を預かって査定する。

シンワオークション(Shinwa Auction)は、そんな主催会社である。

主催会社には、購入に関心を持つ層を対象に販促活動を行い、参加者を集めるという役目もある。

主催会社の主な売上は「手数料収入」である。出品者と落札者の双方から、落札価格に応じて手数料を受け取る。

1989年、5人の美術商によって設立

シンワアートオークションの設立は、1989年だった。

5人の美術商が出資し、設立した。5人とも画廊を運営していた。

当初は「親和会」という会社名だった。社長には平野龍夫氏が就任した。

当初から、公開競売を企画・運営する目的だった。

当時は、一般の人が美術品を売買する場合、画廊を利用することが多かった。しかし、「適正な値段が分からない」と不安がられているのが実情だった。

このため、シンワアートオークションは、価格設定が目の前で行われる公開オークションを事業化した。

1990年9月からオークションを始め、年4回のペースで開催した。

1991年9月は落札率30%と低調だった。だが、1992年に入ってからは60%以上をキープした。出品作品の厳選や売り手との厳しい価格交渉をしてきた結果だった。

倉田陽一郎社長

現在の社長の倉田陽一郎(くらた・よういちろう)氏は、もともと美術が好きだった。

三重県出身。1987年(昭和62年)東京大学経済学部を卒業した。エス・ジー・ウォーバーグ証券に入社した。

投資顧問業と並行して、シンワのコンサルティングに従事していた。コンサルタントとして、シンワオークション(Shinwa Auction)に対する経営計画を作成した。

それをきっかけに、2001年、自ら社長に就いた。株式公開を実現させた。